介護福祉士が実践する介護疲れを予防する高齢者へのアプローチ

介護はプロでも疲弊する

自分で言うのはなんですが、私はお年寄りを扱うのがうまい方です。

あまり言うことを聞いてくれない方でも、大概は話を聞いてくれます。

そのときに意識することがいくつかあるので紹介していきますが、結論から先に言ってしまうと、気を付けることは普通の人付き合いと変わりません。

認知症であろうが、障害を負っていようが、根本は同じ人間だということです。

ポイント① 笑顔でいること

あなたは怒った顔の人と笑った顔の人だったら、どちらにそばにいてほしいですか?

ヘラヘラしている人はキライ!と、いう方もいらっしゃると思いますが、基本的には、ほんわかしていて笑顔の人のほうが一緒にいたいなと思いますよね?

ハンディキャップを負った方というのは、負の感情を向けられる頻度が多く、そういった感情に敏感です。

ゆえに、私たちのような介護にあたる人間は、普段よりも笑顔を心掛ける必要があります。

笑顔でいるというのは意外とエネルギーを使って大変だと思いますが、実は介護する側にとってもメリットがあります。

それは、お願いごとが通りやすくなることです。嫌いな人よりも好きな人の言うことを聞きたくなるのが人情だと思います。

介護の仕事をしていると、本人にやってもらわないといけないこともかなりでてきます。

たとえば、入浴や更衣ですが、これらを拒否されてしまうと介護はかなりやりづらくなります。

ここで大切なのが信頼関係です。認知症の方は記憶が残らないから良くしても無駄だと、おっしゃる方もいらっしゃいますが、私はそうは思いません。最初は、ぶっきらぼうだった方や誰に対しても嫌な顔をする方でも、関わりを続けていくと良い笑顔を見せてくれるようになるからです。

良い関わりを普段から積み重ねておくと、気乗りしないお願いごとも聞いてくれることが多くなります。

先に、介護側のメリットと書きましたが、介護を受ける側の方の衛生面や精神面にもメリットがあります。

良い関わりの基本は『笑顔で優しい声かけ』です。試してみると良い変化が得られるのではないでしょうか。

②ポジショニング

皆さんはパーソナルスペースというものを知っていますか?

人間には他人に入られたら不快に感じる距離というものがあります。

一般的には男性は前方に長い楕円形、女性は円形に広がっているとされます。

介護を行っていればこの距離に踏み込まないことは不可能なので、まずは接近が不快に感じられているという前提で話を薦めます。

まずはお話をするときの位置取りですが、相手と同じ向きの横並びでしゃがむのがお勧めです。

お話しするうえで相手のパーソナルスペースには踏み込まざるえないので、プレッシャーを与えないように体の向きと姿勢に注意します。

体の向きは相手と平行にして横並びになり、さらにしゃがむことで相手の警戒心を下げます。表情はなるべく硬くならないようにし、柔らかく話しかけましょう。

このような工夫で相手が話をしっかりと聞いてくれやすくなります。

遠くから声をかけたり、相手の注意を引きたい場合は、正面から大きいジェスチャーを付けながらアクションをかけるとこちらの意図をわかってくれやすくなり、かつ、親しみも生みやすくなります。

③不満そうにしている時こそチャンス

人が不満そうにしているときは、何かしら他人にやってほしいことがある場合がほとんどです。

そのときに寄り添うことをしておくと、後々の対応が楽になったりします。

例えば、入浴を嫌がってるときになんで嫌なのかをとことんきいてみると、言うように、自分のことを理解しようとしている姿勢を相手に見せておくことが大切です。そのまま、うまく運べれば『○○さんの嫌な気持ちはよく分かったけど、私の顔に免じてお願いできませんか?』で話が通っちゃったりします。

「嫌ッ!」で一蹴されることもありますが。笑

パターン④ どんなに頑張ってもダメな時はある!!

最後には開き直りということで。笑

介護というものはとても難しいです。相手も人なので頑として動かないこともあります。

そんなときは完璧を追い求めないで『まあ、いっか。』で、終わらせてみましょう。

もちろん、それでは済まされないこともあります。そんなときには周囲に助けを求めたり、介護保険サービスを積極的につかうことを考えてみてください。

実情に合っていない環境やこだわりで苦しみながら介護を続ける方々を多く見てきました。そういった方々が少しでも減るように今回は記事を書いてみました。

参考にしていただき、皆さんの介護生活が楽になっていただけたら嬉しいです。

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