ツイッタートレンドに異性介護
流れをザックリまとめ
ことの発端はNHK福祉情報サイト『ハートネット』(外部サイト)にて、障害のある女性の悩みを掲示するページに、異性介助に対する意見で『異性による排泄、入浴介助は性犯罪被害を受けている感覚と相違ない』という趣旨の掲示があったことです。
また、このような文言がリンクの載ったツイートに使われたことにより炎上が起こりました。
原則として介護は介護を受ける方の尊厳を守りながら行われるもの
今回の件で誤解があってはいけないと思ったのは、強制的に異性介助になるケースは基本的にないということです。
今の介護というのは『尊厳』を守ることを原則として行われます。
契約時や実際に介助が行われる場面で、同性の介助を希望すればそのように行われるということです。
問題となっているケースでは、本人の意思表示があったのか、契約時に同意をとっていなかったのかということが不明瞭です。
同性介助の希望があったうえでそれが無視されてしまったなら、もちろん問題です。
今回の件で違和感を感じるのは、本人が異性介助に対して強い拒否感を感じていたにもかかわらず、異性介助が行われている点です。
その裏には、もしかすると異性介助を拒否しづらい空気感や環境があったのではないかという想像もつきます。
異性介助を拒否すると必要な介護サービスが受けられないと言われたというケースであったとすれば、それは事業所が提供できるサービスとのミスマッチが発生しています。
だとすれば、同じサービスを提供していて同性介助ができる事業所に変更すればよいのです。
しかしながら、今回のケースのような声がわざわざ挙がってくるのはそのような選択肢が取れなかったからではないでしょうか。
その根本は、介護業界で問題となっている人員不足が原因にあるかもしれません。
いずれにせよ、問題の意見が生まれた背景が想像の域を出ない以上は個人への攻撃は控えるべきだと思います。
また、今回のようなケースが強調されてしまえば、男性介護士の減少につながってもおかしくはありません。
それにより、すでに問題になっている介護業界の人員不足が加速してしまえば、尊厳が守られた介護サービスはより難しくなってしまうでしょう。
今回の件に関しては、炎上の発端の一つになったツイートの文言について配慮が足りなかったのではないかと思います。
炎上の対象がNHKのみならず、問題となってしまった意見を述べた方にも及んでしまっていることが特に問題だと思います。
サイトの冒頭に『どんな支援が必要なのかを考えていくために、みなさんの体験談やご意見をお寄せください。』という文言があります。
意見を寄せた方が攻撃されている姿を見て、他の障がい者の方が意見を発信することを躊躇するようになってしまえば本末転倒ではないでしょうか。
NHKさんは、今回の件を早めに火消しして、意見を発信された方へのフォローを忘れないでいただきたいと思います。
そして、今回の件で介護について不安を感じてしまった方がいらっしゃると思いますが、問題となった『尊厳』を無視した介護というのは原則としてありえないので、安心していただければと思います。
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