デイサービスで働くなかでみる高齢者とコミュニケーションをとるうえで注意しなければいけないと感じていることの一つは『批判されなれている』ということ。
それは身の回りの方からの批判だけではなく、自己否定の面も強いのではないかと感じる場面が多々あります。
そういった環境から発症しやすい『老人性うつ』についてや高齢者の方に明るく過ごしてもらうためには、どのような取り組みが必要なのかについて考えます。
衰えが自信を奪う
加齢と共に身体機能が衰えていくと、家族や周りから「なんでこんなこともできないの」「もっとちゃんとしてよ」「できないなら手をださないで」などの言葉がかけられる機会が多くなっていきます。
身近な関係というのは、良くも悪くも遠慮がなく批判的な声掛けが比較的ラフに行われやすくなります。
おじいさんやおばあさんの元気なころを知っているからこそ、変わっていく姿が受け入れがたいということもあるのでしょう。
今、ご両親が若い皆さんでも、ご両親が、トイレが一人で出来なくなってしまったら、食事が一人で摂れなくなってしまったら、満足に歩くこともかなわなくなってしまったらと、イメージを膨らませればある程度その姿の受け入れづらさがわかるかと思います。
しかし、ながらこの受け入れづらさというのは衰えていく本人にはないのでしょうか?
介護で現場に立っていると『昔はこんなじゃなかったのにね。』と、切なそうにこぼされるのは、家族ばかりではなく、衰えていく本人の口からも聞こえてくるのです。
個人的には加齢による身体機能の衰えが、身近の人から非難および本人による自己否定の回数を増やし、批判的な思考バイアスが生まれてしまうのではないか考えています。
ゆえに、介護に携わるときの声をかけや言葉遣いなどにはかなり気を使います。
また、批判のストレスにあふれた環境というのは『老人性うつ』を招く原因ともなります。
老人性うつ
老人性のうつというのは初老期(50~64歳)に多く発症するもので高齢者自殺の主原因の一つとされています。
うつ病は、気分が滅入るなどの気分障害が2週間以内に治らない状態を指し、抑うつ状態と過度に気分が高揚する躁状態を繰り返すこともあります。
原因はハッキリしていませんが、環境的なストレスや身体精神機能が要因となることもあると言われています。
若い方のうつと違う老人性うつの難しさは認知症との区別がつけづらいことにあります。
若い方のうつにみられる、倦怠感、不眠、食欲低下、考えがまとまらないなどの症状は、認知症においても多く見受けられます。
うつ病およびうつ状態の際に現れる、認知症に似た症状というのは『仮性認知症』と呼ばれます。こういった症状というのは、薬の副作用や脱水症状、栄養不足からなるものもあります。
老人性うつと認知症の違い
老人性うつは環境的変化や心理的なストレスなどで症状が急に表れる傾向が強く、それに対し、認知症は時間をかけて段々と記憶能力や認知機能が低下していく傾向があります。
また、老人性のうつの特徴として、言葉では「動きたくない」「疲れた」「気分が落ち込む」などと言いながらも、行動面ではうろうろ動きまわるなどの言葉と行動の相違や、焦燥感や不安感が強いことが挙げられます。
しかしながら、この見分けというのはかなり難しいので最終的には医師による診断と治療が必要となります。
高齢者に明るく過ごしてもらうには
認知症と老人性のうつに共通している対処というのは”否定しないこと”
または、ウォーキングなどの運動を行うことも効果的とされています。
日々の中で、できないことではなく、できていることに焦点を当てて声をかけを行いながら、運動より体力向上や食欲増進、睡眠の改善を図ることが、うつ状態の改善と認知症の進行を遅らせることに繋がります。
老人性うつと認知症のどちらであっても周りの方を含めて苦しむものです。
この記事を参考に少しでも生活が楽になったらうれしいです。
とは、言ってもやはり介護は大変。困ったときには行政を頼りにしましょう。
地区ごとに”地域包括支援センター”が設置されています。ここでは高齢者の総合相談を行っており、適切な福祉サービスなどの案内などを受けることができます。
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